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変態ライトニングトーカーが編み出したプレゼンメイキング手法

このエントリは、変態アドベントカレンダー2012の2日目です。一日目は@さんの「文字列の変態力を計ってみよう。」でした。
2010年末のDevLOVE HangerFlightの場でライトニングトークに初挑戦して以来、プレゼンというものにのめりこんでしまった私です。これまで数えきれないくらいのライトニングトークをやってきました。
今年の4月には、能の舞台でライトニングトークができると知って、わざわざ奈良まで出向きました。
また、誰かのまえで自分の考えを発表することに味をしめた結果、エンジニアライフでコラムを書きはじました。
結果、自分の考えを表に出すことが快感になっていた、ある種の変態となった自分ができあがりました。
その自分の考えをどうやって表に出すか。そのために使っていたプレゼンの作り方の変遷を、そして自分が編み出したプレゼンメイキングの手法を書いてみようと思います。

※要するに、今回の話自体は変態でもなんでもないのですが、プレゼンをやりまくっていた自分自身がある種の変態ということで、変態アドベントカレンダーの基準を満たそうとしました。よろしくおねがいします。

最初の手法 マインドマップ

プレゼン資料を作る上で最初に使っていたのは「マインドマップ」でした。
マインドマップ

描き方は、表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを広げ、つなげていく。思考を整理し、発想を豊かにし、記憶力を高めるために、想像 (imagination) と連想 (association) を用いて思考を展開する。
(Wikipedia)

という手法です。
2010年末当時、自分は参加した勉強会のまとめをマインドマップで書いてこのブログで公開していたりしました。
そのため、マインドマップ自体は書き慣れており、プレゼンで何を話すか構造的に書き上げるのに一番使いやすいツールでした。
そんなわけで、2011年後半から2011年末くらいにかけてのライトニングトークの資料を作っていた時期は、マインドマップで資料のアウトラインを作っていき、それをスライドに落としこむようなやり方をしていました。

第二の手法 ふせん並び替え

ですが、マインドマップをメインで使っていたのは、2012年のはじめのころまででした。いつしか、マインドマップを書くためのペンやスケッチブックを持ち歩くことが億劫になり(荷物が多かったり、スケッチブックが大きかったせいで)、マインドマップを書く機会が減ってきました。
その代わりに自分のなかで台頭してきたのが、ふせんを使ってネタをまとめるやりかたでした。
この方法を知ったのはプレゼンテーションZENがきっかけでした。この本のなかで「プレゼンの話のアイデアを練るのにふせんを使ってどんどん書き出すといいよ」といったことが書いてあり、それを試してみたところハマったのです。

プレゼンテーションzen

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それまでマインドマップを使って資料を作る際は、頭の中である程度の構想を練ってから書き出すようなやり方をしていました。
ですが、ふせんを使うことで、構想のねり方が少しざっくりになりました。
マインドマップ自体、発想法の要素を持っています。ですが、自分にとってはふせんを使ったほうがより自由に発想できる感触がありました。
そうして自由に思いついた要素を並び替えて、資料を作るようになりました。また、この方法を使って何本ものコラムも書き上げていました。
しかし、この方法は場所を取ります。ふせん自体ある程度の大きさがないと書くのが辛く、また十数枚のふせんを並べるので、ある程度の場所がないと使えませんでした。

編み出した手法 3の累乗で構造化する

そんななかで、資料作りに追い込まれる出来事がありました。それは、2012年10月に登壇した「勉強会初心者のための勉強会」の資料を作ろうとしていたときのことでした。このときは45分のセッション時間を頂いていたのですが、仕事などが忙しく、前日まで資料作りに着手できていませんでした。
構想自体は練っていたものの、書き出す場所がない。ただ、仕事中で移動する時間があって、手帳にネタを書ける程度の余裕はありました。
この時に使ったのが3の累乗で、ネタを構造化するやり方でした。
なぜ、3の累乗なのか。テレビ番組でもおなじみ池上彰さんの著書「わかりやすく<伝える>技術」のなかで、こう説明されています。

わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)

わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)

人は、たいてい三つまでなら耳を傾けて聞きます。それが、四つになると注意が拡散します。話し手も内容を把握しづらくなってしまいます。
人間がメモなしで話せるのは、たいていは三つのことまでです。聞き手のほうも、頭の中でとりあえず整理して覚えられるのは三つまで。不思議なもので「三つあります」と言われると安心するのです。

大きな三つのテーマについて30分ずつ話す。
その30分の大きなテーマを説明するために、それぞれ小見出しを三つ立て、10分づつ話していく。
すべてを三つに分けて整理していくと、聞き手にもわかりやすくなりますし、話をしやすくなります。

この三つまでというルールを覚えていた自分は、話したいテーマを3つ。そこで取り上げるトピックを各テーマごとに3つ。そのトピックを説明するのに使うエピソードや、訴えたいことを3つ。合計すると27個の話題になります。これをそれぞれ1分で説明。そのほかに自己紹介やまとめ。質疑応答で合計45分。という計画を立てたのです。
実際はこれらの話題に対して話すことを3つ。それぞれ20秒で収まるようにしました。
こうすることで、45分のセッションを無事成功させることができました。
そして、この手法の利点に気が付きました。

3の累乗でスケールしていくネタ作り

この方法は5分のLTから45分のセッション。もちろんコラムでもブログのエントリでも使うことができます。
5分のLTなら話したいテーマを一つ。そこでとりあげるトピックを3つ。そのなかで話すことを3つ。話すこと一つにつき30秒とすれば、合計で4分30秒。自己紹介も含めて5分で収まるようになります。
一つ30秒で刻めるので、しっかり時間ちょうどで終えることもできるでしょう。
45分のセッションなら先ほど挙げたとおりテーマを3つ。そのなかのトピック・エピソード・説明と3つづつ用意していくことで81の説明を各20秒〜30秒。自己紹介や質疑応答を含めれば45分に収まるボリュームとなります。
さらに長いセッションになれば、テーマ3つを束ねる大きなテーマを用意すればスケールさせることができます。
どんな時間のセッションであっても対応可能な方法が、この3の累乗でネタを作っていく方法なのです。

ネタ出しはマインドマップでもふせんでもノートでもOK

そして、この方法はあくまで構造化のルールです。実際にネタを作っていくのはマインドマップでもふせんでも、ノートの行を使っていくのでもいいのです。
ちなみに、このエントリのネタ出しはふせんを使ってやっています。マインドマップ・ふせん・3の累乗。それぞれの方法の利点を3つ出すことで、構造化させました。

LTのネタ作りや、こうしたアドベントカレンダーのネタ作り。直前になって考えるのは大変ですが、こうした思考の枠組みをつかうことで、そうした大変さを軽減することができます。
2012年末は昨年に比べてさらに多くの技術系アドベントカレンダーが行われています。そうした場でネタを書くのに苦しんでるそこのあなた。こうしたやり方でネタを作ってみてはいかがでしょうか?

ということで、僕のエントリはここまで。明日は@さんです。僕みたいなガチエントリでなく、いたって変態なエントリを書いてくれることでしょう。楽しみにしております。